ログインすると、メモ機能や偏差値や正答率が記録されます。
    1 / 6章

相続とは

①相続とは

相続とは、人が死んだ場合に、その人が生前に所有していた財産や債権、債務等がどのように承継されていくかという流れです。

具体的には特定の個人が死亡したときに、その人の権利・義務が一定の親族関係を有する者に引き継がれていきます。死亡した相続される人のことを被相続人といい、権利・義務を相続する人を相続人といいます。

②相続する内容

死亡により相続が開始されると一切の権利・義務を承継し、これは具体的な財産だけではなく、財産上の法律関係、法律上の地位も承継することになります。

例えば1,000万円の債権を有している者が死亡したときには、相続人は当債権を相続します。ただし、被相続人の身分関係に関するもの、例えば年金受給権などの一身に専属するものは相続できません。

③単独相続と共同相続

代理や委任契約等の個人の信頼関係に基づく権利・義務は承継されません。相続の形態は相続人が一人の場合は単独相続といい、相続人が複数いる場合は共同相続といいます。

共同相続の場合は被相続人の財産は相続人の共有財産となり、その割合は遺留分・遺言(指定相続分)・法定相続・遺産分割などにより相続割合が定められることになります。

相続人と相続分

①相続人とは

相続人とは被相続人の権利・義務を引き継ぐ人のことであり、遺言書がない場合は民法によって誰が相続人になるか定められています。

その相続人のことを法定相続人といいます。具体的には

  • 配偶者
  • 子(嫡出子・非嫡出子・養子)
  • 直系尊属(父母・祖父母)
  • 兄弟姉妹

の4種類となっています。

②相続分

配偶者は欠格事由または廃除請求がない限り常に相続人となります。

①配偶者がいて他の法定相続人が子である場合

  • 配偶者…1/2
  • 子…1/2

②配偶者がいて他の法定相続人が直系尊属である場合

  • 配偶者…2/3
  • 直系尊属…1/3

③配偶者がいて他の法定相続人が兄弟姉妹である場合

  • 配偶者…3/4
  • 兄弟姉妹…1/4

となります。

直系尊属は子がいないときに法定相続人となり、兄弟姉妹は子・直系尊属がいない場合に法定相続人となります。このように民法では相続人の範囲だけでなく、相続順位・相続割合まで細かく定められています。

配偶者は必ず相続人となり、相続の順位は

  1. 被相続人の親
  2. 被相続人の兄弟姉妹
となります。

③欠格と排除

法定相続人には相続に関して不正な利益を得ようと被相続人や他の相続人に対して悪質な行為をした者から相続権を奪う欠格という制度があります。

欠格事由に該当しなくても被相続人が悪質な行為を受けて相続させたくないと考える場合には請求に基づき家庭裁判所の判断によって相続権を奪う廃除という制度があります。

遺産分割とは

①遺産分割とは

遺産分割とは、相続開始とともに共同相続人の共有財産となった相続財産を、各相続人の所有とするための分割手続きのことです。

遺産分割がなされるまでは、相続財産は相続人の共有物となります。

②遺産分割の条件

例えば甲が死亡し、相続人である乙と丙が単純承認して、乙が相続財産である金銭について保管している場合、遺産分割協議前には丙が自己の相続分の金銭を支払うように請求はできません。

遺産分割は被相続人が遺言で分割方法を指定したときは、それが従うことになります。遺言による指定がなければ、共同相続人全員で行う遺産分割協議で各割合を決定します。

③分割の請求

協議がまとまらない、又はできないときは各共同相続人は家庭裁判所に分割の請求をすることができます。なお、遺産分割は5年以内であれば分割を禁止することができます。

遺言による遺産分割の指定として、相続させるという文言は特段の事情のない限り遺産分割の指定と解釈され、被相続人の死亡とともに直ちに相続人に相続されることになります。

相続の承認と放棄

①相続の種類

相続は被相続人の一切の権利・義務を承継することから、相続人は財産や債権だけでなく借金等の債務も引き継ぐこともあり、借金等の額の方が大きかったりすると相続人は不利益を被る可能性もあるのです。

そこで法律では

  • 無限に被相続人の権利・義務をそのまま承継する単純承認
  • 限定して相続する限定承認
  • 一切相続をしない相続放棄

という制度を設けています。

②相続の期限

相続が開始されると権利関係の帰属が定まるまでは関係者が不安定な立場に置かれることから、限定承認・相続放棄する場合には自己のために(自己に関連して)相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。

もし3ヶ月以内に申述しなければ、単純承認したとみなされます。相続人が複数いる場合には、限定承認をするには相続放棄した者を除き共同相続人が全員が共同して行わなければなりません。

③相続の放棄

相続放棄は死亡前にはすることができません。なお、相続の承認と放棄は民法の規定で無効、又は取り消せる場合を除き、原則として撤回できません。

遺言

①遺言とは

遺言とは、人が死んだ後に身分上あるいは財産上の権利・義務について、一定の方式で表示を示したもので、死後にその効力が発生します。

民法では遺言の効力は一定の方式によると定められています(要式行為)。遺言を残すことができるのは満15歳以上であり、未成年であっても、また被保佐人・被補助人であっても保護者の同意を得ずに単独ですることができます。

②効力の発生時期

遺言は原則として死亡により効力が発生しますが、条件を付すことができるので、死亡後に条件が成就したときに生じるケースもあります。

③遺言の撤回

遺言は撤回をすることができ、その撤回権を遺言者は放棄することはできません。

撤回方法は新たな遺言を作成することで、撤回前の遺言の方式と同一である必要はありません。また撤回前後で遺言の内容が抵触する場合には、新たな遺言を優先することになります。

これは遺言が人の最終意思を示すものであることから、より新しい方を最終意思とみなすためです。

遺留分とは

①遺留分とは

遺留分とは、被相続人と関係のある一定の相続人が必ず相続財産の一定割合を相続できるように保障した制度です。

これは長い間、被相続人と一定期間関係があり生活面での世話をしたり親子関係があった者が最低限の財産を相続して生活を継続・維持したいという期待と、被相続人による自由な財産の分配意思のバランスをとる目的から設けられました。

②遺留分権

遺留分権者は配偶者、直系卑属、直系尊属に限られ被相続人の兄弟姉妹に遺留分権はありません。

①子と配偶者が相続人

  • 子…1/4
  • 配偶者…1/4

②父母と配偶者が相続人

  • 配偶者…1/3
  • 父母…1/6

③兄弟姉妹と配偶者が相続人

  • 配偶者…1/2
  • 兄弟姉妹…0

③放棄

遺留分権は相続開始前に家庭裁判所の許可を得て放棄することができます。また共同相続人の1人が遺留分を放棄しても他の協働相続人の遺留分にも相続人にも影響を及ぼしません。

例えば遺留分権者が配偶者と子である場合、配偶者が放棄しても子の割合は1/4のままです。

④侵害による請求

遺留分を侵害する相続がなされた時は、遺贈及び相続開始前の1年間にされた贈与の効力を否定した自己に引き渡すために遺留分減殺請求権を行使することになります。

遺留分減殺請求権は侵害があったことを知ったときから1年経過すると時効によって消滅します。また、相続を知らなくても相続が開始された時から10年を経過する時は行使できなくなります。