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不法行為とは、他人の権利を侵害し、損害を負わせることで、民法では被害者をどのように救済するかという制度を設けています。
同様の制度としては債務不履行制度がありました。異なる点としては契約関係にない人が当事者となることです。不法行為制度は損害の公平な分配と被害者の救済を目的としています。
不法行為の成立要件として
が求められます。
損害賠償は金銭賠償が原則で財産的損害だけでなく精神的損害も含みます。
また被害者救済を目的とした制度であることから損害の発生時から履行遅滞となり、被害者救済が名目上とならないように加害者が被害者に対して債権を持っている場合でも、それを自働債権として相殺することはできません。
賠償額を定める場合には被害者の過失を勘案して減額する過失相殺制度があります。
さらに特殊な不法行為として
があります。
土地工作物責任とは、土地の工作物の瑕疵によって他人に損害を与えた場合に工作物の占有者・所有者が負わなければならない損害賠償責任をいいます。
土地工作物とは土地に接着して築造した設備のことで、建物や天井・エレベーターや広告塔・水道設備等をいい、地上・地下を問わず構築物をさします。
土地工作物責任は
があって成立するものです。
瑕疵とは、工作物が通常考えられるべき安全な設備が整っていないことをいいます。
損害が発生した場合に第一次的に責任を負うのは、工作物の賃借人である占有者となります。
土地の工作物については所有者と占有者が一致する場合と、一致しない場合があります。
一致しない場合は占有者が責任を負う中間責任となりますが、占有者に過失がなかった場合には所有者が責任を負う無過失責任となります。