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都市計画区域とは、自然的・社会的条件、人口、産業、土地利用、交通量等の現況とその推移を考慮して、一体の都市として、総合的に整備し、開発し及び保全する必要のある区域として指定されたものです。
都市計画区域は、無秩序な市街化を防止し計画的な市街化を図るため、必要があるときは、市街化区域及び市街化調整区域に区分し、この区分のことを実務上は線引きといいます。
区分されていない場合を非線引きといい、その都市計画区域を非線引き都市計画区域といいます。
市街化区域とはすでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を言うのですが、簡単にいえば、どんどん建物を建ててもいい区域です。
そして、市街化区域では少なくとも用途地域(さらに細かく建物の用途別に地域を分けたもの)を定めないといけません。
市街化調整区域とは市街化を抑制する区域であり、自然を残していく区域です。
市街化区域と市街化調整区域に分ける必要はなく、区域区分を定めない区域、すなわち市街化区域でも市街化調整区域でもない区域が非線引き都市計画区域です。
※似たような名の区域である準都市計画区域は都市計画区域外にあります。
都市計画区域とは、自己が所有する土地であっても自由に扱うのではなく、周りと調和して利用していくためのルールのようなものです。
国や自治体は都市を整備することで国民が健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動を確保できるようにしなければなりません。
都市計画を具体的に規定する都市計画法はまちづくりのベーシックプランであり、建築基準法や宅地造成等規制法をはじめとする他の土地関連法の中心として位置付けられています。
都市計画法は、原則として都市計画区域内においてのみ適用されます。
その都市計画区域は、一定の要件に該当する市街地を含む一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として、都道府県が指定します。
都市計画区域の範囲は必ずしも市町村の区域とは一致せず、複数の市町村にまたがる都市計画区域があるほか、一つの市町村が異なる都市計画区域に分かれている場合もあります。
国土交通大臣は2以上の都府県にまたがる都市計画区域を指定できることになっています。
1つの都道府県に都市計画区域を指定する場合は、関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴き、国土交通大臣に協議し、同意を得て、都道府県が指定します。
2つ以上の都府県にまたがる場合、関係都府県の意見を聴き、国土交通大臣が指定します。
建築物が増えてきたり、あるいは将来行われる可能性があり、都市計画区域の指定はできないけれども、放置すれば将来の街づくりに支障が生じるおそれがあると認められる場所を、準都市計画区域として指定することができます。
すなわち乱開発の防止です。準都市計画区域は都道府県が指定し、準都市計画区域内の都市計画の決定は都道府県または市町村が行います。
指定にあたっては、あらかじめ関係市町村および都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければなりません(同意は不要)。さらに国土交通大臣に協議・同意を得て、公告という流れになります。
また都道府県は、必要に応じて下記8種類の地域地区を定めることができます。
開発が進み、準都市計画区域全部が都市計画区域として指定された場合は手続きを経ることなく当然に準都市計画区域の指定は廃止されます。
また準都市計画区域の一部が都市計画区域として指定された場合は、手続きを経ることなく都市計画区域と重複する区域以外の区域に当然に変更されたものとみなされます。
無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図る必要があるときに都市計画区域において区域区分は、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けます。
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいいます。
つまり既に街として形成されており、さらに街づくりをすすめていくべき区域になります。
市街化調整区域は農地や山林などを残し、自然環境を保持していく区域をいいます。この区域では市街化を抑制すべきであり、禁止まではされていません。
この区分を区域区分といい、区分することを線引きといいます。硬直化した都市計画を回避し、柔軟で円滑な都市計画を図るために、線引きをするかは都道府県の裁量に委ねられています。
しかし、大都市の一部は必ず区域区分を定めなければいけません。
線引きがされていない区域を、区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き都市計画区域)といいます。
地域地区とは、都市計画においては都市計画区域の指定、区域区分の制度とともに住みよい街づくりの実現のために土地利用に関して一定の規制等を適用するために指定された区域です。
地域地区は基本的地域地区と補助的地域地区に分かれます。基本的地域地区とは建築物の用途に応じて土地の利用を区分したもので、用途地域といいます。
基本的地域地区は7種の住居系、2種の商業系、3種の工業系に分かれます。地域地区には、その種類・位置および区域等を定めなければなりません。
補助的地域地区とは基本的地域地区(用途)による土地利用の区分をさらに細分化する等をして、土地の合理的利用を促進します。
都市計画法における用途地域とは、建築物の利用に応じた土地の利用を区分したものをいいます。
都市計画法では地域地区を定めますが、地域地区はさらに基本的地域地区と補助的地域地区に分けられます。その基本的地域地区を建築物の利用に応じて区分したものが用途地域となります。
基本的地域地区には住居系7種、商業系3種、工業系2種の合計12種類に分けられます。
第一種低層住居専用地域 | 低層住宅の良好な住居環境を保護する地域 |
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第二種低層住居専用地域 | 主に低層住宅の良好な住居環境を保護する地域 |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅の良好な住居環境を保護する地域 |
第二種中高層住居専用地域 | 主に中高層住宅の良好な住居環境を保護する地域 |
第一種住居地域 | 住居の環境を保護する地域 |
第二種住居地域 | 主に住居の環境を保護する地域 |
準住居地域 | 道路の沿道として調和した住居環境を保護する地域 |
近隣商業地域 | 近隣の住民の日用品の供給を行うなど利便を増進させる地域 |
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商業地域 | 主に商業その他利便を増進させる地域 |
準工業地域 | 主に環境悪化のおそれのない工業の利便を増進させる地域 |
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工業地域 | 主に工業の利便を増進させる地域 |
工業専用地域 | 工業の利便を増進させる地域 |
用途地域では都市計画の目的を十分に達することができない場合、用途地域に重ねて、あるいは単独で指定される地域地区のことを補助的地域地区といいます。
具体的には、ある一帯を伝統的な建築物が立ち並ぶ地域として生活環境も保全しつつ単に住居地域に指定しただけでは、都市計画の目的を十分に実現できない可能性があります。
その対策として、さらに伝統的建造物群保存地区に指定することで、都市計画の目的を十分に果たすことができるようになります。
補助的地域地区には
市街化区域では、用途地域を必ず定めなければなりません。ですので、市街化区域で用途地域の無い場所はありません。
市街化調整区域では、原則として用途地域を定める必要があります。そのため、市街化調整区域には用途地域がない場所も存在します。
地域地区の1つである用途地域では、その種類・位置および区域等を都市計画に定める必要があります。
以下がその例です。
※商業地域の建ぺい率は原則8/10と定められています。
都市施設とは、道路・公園・下水道・学校・病院等の都市での生活や都市機能の維持に必要な施設をいいます。
※施設とありますが、建築物に限られず、道路等の設備も含まれます。
都市施設は市街化区域および市街化調整区域のどちらの区域内においても定めることができますが、道路・公園・下水道の3つは、市街化区域と区域区分が定められていない都市計画区域内には必ず定めなければなりません。
都市施設の内容は、都市施設の種類・名称・位置・区域とともに、面積等も都市計画に定めるように努めなければなりません。
大規模な都市施設は、都市施設に関する都市計画事業の施行予定者を、都市計画に定めることができます。
都市施設は、都市計画区域ではもちろん、人の生活に必要なものであることから都市計画区域外でも、都市計画に定めることができます。
住居系用途地域には、小学校・中学校等の義務教育施設を必ず定めなければなりません。
住居系用途地域とは
をいいます。
地区計画とは、地域住民の意見を最も反映できる地区単位のレベルで、地域の特性を十分に活かした街づくりプランを策定、実行しようとする都市計画の一つです。
地区計画を定めることができる区域は、都市計画区域のうち用途地域が定められている土地の区域、用途地域が定められていない土地の区域の一部で、準都市計画区域では定めることができません。
地区整備計画とは、地域住民が利用する道路や公園などの土地に関する計画のことで、地区計画を都市計画に定める際、地区整備計画も定める必要があります。
ただし、地区計画の全部または一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情がある場合は地区整備計画を定める必要はありません。
地区計画の区域の全部または一部に土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発または開発整備を実施すべき区域として、再開発等促進区を定めることができます。
劇場・店舗・飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物(特定大規模建築物)の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域として開発整備促進区を定めることができます。
地区整備計画が定められた地区計画の区域においては、地区計画の実行が間近なため妨害されないために一定の行為については届出義務が課せられています。
都市計画とは街づくりのベーシックプランのことです。都市計画が予定どおりに実現するように、建築物の建築や開発行為を行うときに制限することを都市計画制限といいます。
すなわち、個人の所有権等に制限がかかってくることになります。
国土交通大臣、都道府県知事等は都市計画法等に違反する者に対して必要な限度において許可等を取り消したり、工事の停止をしたり、工作物等の改築や除却その他の是正措置をとることを命ずることができます。
都市計画制限は都市計画の実現のために課されるので、種類は都市計画の数だけあるといえます。
以下が具体例として挙げられます。
区域区分・地域区分の実現 | 開発行為等の制限 |
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風致地区・地区計画・促進区域内の実現 | 建築物の建築の制限 |
遊休土地転換利用促進地区の実現 | 土地利用の制限 |
被災市街地復興促進地域の実現 | 建築行為等の制限 |
市街地開発事業等予定区域の実現 | 建築等の制限 |
都市施設・市街地開発事業の実現 | 建築等の制限 |