ログインすると、メモ機能や偏差値や正答率が記録されます。
    1 / 6章

営業保証金の供託

①取引のトラブル

宅建業者と一般消費者が不動産取引を行った場合、知識や経験に大きな差があり、また不動産自体が高額なためにトラブルが生じることが多々あります。

たとえば取引途中で不動産業者が倒産してしまった場合には、大きな損害を被ることになります。

②営業保証金とは

トラブルに備えて、予め宅建業者に一定の金額を供託所に預けさせて、損害が発生した時は供託所が宅建業者に代わって弁済することを営業保証金制度と呼ばれます。

供託義務者は宅建業者が行います。供託額は主たる事務所は1,000万円、従たる事務所は1つの事務所ごとに500万円です。

③供託方法

供託方法は以下の3種類があります。

  • 金銭
  • 国債・地方債・政府保証のある有価証券
  • 金銭と有価証券の組み合わせ

①有価証券

有価証券の評価額は、地方債・政府保証債が90%、その他国土交通省令で定める有価証券が80%となります。

④供託場所

供託場所は主たる事務所の最寄りの供託所です。

宅建業者は営業保証金を供託した後、供託書の写しを添付して、その旨を免許権者に届け出る必要があり、供託した後でなければ事業を開始することはできません。

⑤催告と取り消し

免許権者は、宅建業の免許を与えた日から3ヶ月以内に供託の届出をしない場合、届出をする旨の催告をしなければなりません。

さらに免許権者は、催告が到達した日から1ヶ月以内に供託をした旨を届け出ない場合は、免許を取り消すことができます。

営業保証金の移管と取り戻し

①営業保証金の供託とは

主たる事務所を移転した場合、移転前の最寄りの供託所に供託していた営業保証金を、移転先の最寄りの供託所に移すことを営業保証金の移管といいます。

移管は営業保証金の供託を金銭のみでしていた場合に限って認められ、移管の請求は移転前の供託所に対して行います。

①有価証券の場合

有価証券を含む供託の場合、移転先の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託した後、移転前の供託所から供託金の返還を受ける必要があります。

また有価証券を含む供託は保管替え(移管)ではなく、二重供託といいます。

②営業保証金の取り戻し

営業保証金の取り戻しとは、以下の事情があって供託金を取り戻すことをいいます。

  • 宅建業者が免許の更新をしない
  • 破産手続き開始決定・解散・廃業
  • その他業務を継続しない事由

①取り戻しの条件

営業保証金制度の趣旨から、いつでも取り戻せると消費者の保護が不十分になり、しかし宅建業を行わない場合まで取り戻せないとすると酷です。

取り戻しの条件として、還付請求権者に対し、6ヶ月以上の期間を定めて公告をし、請求がなければ取り戻しができます。

また保証協会の社員になった場合、二重供託(有価証券を含む供託の移管)、取り戻し事由発生から10年が経過した場合には、公告することなく取り戻しをすることができます。

営業保証金の還付と補充

①営業保証金の還付とは

営業保証金の還付は、宅建業の取引関係者で、取引で生じた債権を持つ人だけが受けられます。

ですので、以下のケースは還付が受けられません。

  • 宅建業に従事していた社員の給与債券
  • 宅建業者の通信設備の整備業者が持つ宅建業者に対する債権
  • 広告物の作成等の債券

②還付の限度額

還付を受けられる額は、供託額の範囲内となります。ただし還付をして営業保証金が不足した場合は、営業保証金の補充をしなければなりません。

また手続きには、供託物払渡請求書を直接に供託所に提出する必要があります。

還付では債権額の確認の手続きである認証は不要です。

③営業保証金の補充

営業保証金が不足した場合、供託所から免許権者に不足額の通知が行われ、免許権者から宅建業者に通知されます。

宅建業者は通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければならず、供託後、供託所の写しを添付して、2週間以内に免許権者に届け出なければなりません。

保証協会

①保証協会とは

宅建業を開始する時、営業保証金は最低でも1000万円必要となります。

しかし営業保証金が調達できず、開業資金できないケースもあります。

そこで保証協会に一定金額を預けて、さらに保証協会が供託することで少額からでも宅建業を立ち上げやすくする制度ができました。

②保証協会の種類

保証協会は宅地建物取引業保証協会といい、国土交通大臣の指定を受けた一般社団法人で、宅建業者のみを構成員(社員)とする団体です。

現在、以下の2種類が存在します。

  • 全国宅地建物取引業保証協会
  • 不動産保証協会

③保証協会の目的

保証協会は以下の3つが必須業務とされています。

  • 苦情の解決
  • 研修業務
  • 弁済業務

さらに国土交通大臣の承認を得て、以下の任意業務も行うことができます。

  • 一般保証業務
  • 手付金等保管事業
  • 宅建業の健全な発達を図るため必要な業務

①弁済業務

保証協会の必須業務の一つである弁済業務が、営業保証金制度に該当します。

宅建業者が保証協会の会員となる前の取引についても対象としています。

弁済は、裁判による手続きを必要としないもので、宅地建物取引により損害を被った者の申出に基づき、その申出が宅建取引に関するものか、申出者の持つ債権の金額の算定等の認証・審査を行う必要があります。

弁済業務保証金

①弁済業務保証金とは

宅建業を開業するにあたり、最も高いハードルは営業保証金1,000万円を用意することと言われていますが、保証協会に加入することで60万円(主たる事務所)まで抑えることができます。

この制度を弁済業務保証金といい、その金額を弁済業務保証金分担金といいます。主たる事務所につき60万円、従たる事務所1ヶ所につき30万円となります。

①宅建業の開業

保証協会への加入は宅建業者の義務ではありません。

宅建業の開業にあたっては、以下のどちらかを選択することになります。

  • 営業保証金を供託する
  • 保証協会へ加入する

②弁済業務保証金分担金

弁済業務保証金を活用するには、宅建業者は保証協会の会員となり、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付します。

そして取引により損害を受けた一般消費者は、認証を受けることにより、供託所から弁済を受けることができます。

①供託までの流れ

保証協会は納付された分担金を、弁済業務保証金として1週間以内に、法務大臣および国土交通大臣の定める東京法務局に供託します。

分担金は金銭の納付とし、保証金の納付は金銭や国債証券・地方債証券などで供託できますが、評価額は営業保証金と同じです。

③保証協会の義務

保証協会は新たに社員(宅建業者)が加入したときは直ちにその旨を、当該宅建業者に免許を交付した国土交通大臣または都道府県知事に報告しなければなりません。

弁済業務保証金の還付と取り戻し

①弁済業務保証金の還付

弁済業務保証金の還付は、保証協会の社員である宅建業者と取引をした者が、取引によって損害を被った場合、弁済業務保証金から弁済してもらうことをいいます。

①還付の限度額

還付を受けられる金額は、弁済業務保証金分担金の金額ではなく、営業保証金の額に該当する範囲内となります。

例えば取引をした宅建業が従たる事務所1ヶ所であれば、主たる事務所の1000万円と従たる事務所の500万円で1,500万円の範囲で還付を受けることができます。

②還付の手続き

還付の手続きとして、債権について保証協会の認証を受けなければならず、認証を受けた後に供託物払渡請求書を直接供託所に提出して還付を受けることになります。

②弁済業務保証金の取り戻し

弁済業務保証金の取り戻しは可能ですが、保証協会が供託所(東京法務局)から取り戻し、宅建業者は保証協会から取り戻した金額に該当する分担金を返還してもらうことになります。

取り戻しができるのは、以下のケースです。

  • 宅建業者が社員たる地位を失った場合
  • 社員である宅建業者が一部の事務所を廃止し、弁済業務保証金分担金の額が政令で定める金額を超える場合