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代理とは

①代理の意義

代理とは本人が代理人に代理権を授与して、代理人がその権限の範囲内で本人のために代理行為を行うことにより、代理人が結んだ契約の効果が直接本人に帰属する法律行為です。

たとえば甲という京都在住の不動産業者が東京で事業を拡大したいと考えているとしましょう。しかし甲自身が東京に行ってしまっては京都の事業が揺らぐ可能性もあり、行ける状況でない場合もあります。

その場合には乙という人物に東京で代わりに取引を行ってもらい、法律的に甲の取引にすることができれば取引規模を拡大することができます。このような代理行為は任意代理と言われ、私的自治の拡張をすることができます。

②委任による代理

人が行う取引の規模や範囲が拡大してくると、一人だけで自己にかかわるすべての取引を処理し、完結することが難しくなります。

自己の活動領域を広げるために他人に自己の代わりとして取引させることで法的な面からの取引の拡大を保護しているのです。さらに代理には社会的弱者の保護という面をカバーしています。

③社会的弱者の保護

法はすべての自然人に権利能力を認めているが、現実問題として年少者や認知症の高齢者、制限行為能力者などの取引を行えるだけの十分な判断能力を持たない者も存在します。

そこで、それら社会的弱者に代わって他人に取引ないし財産管理を行わせることが要請され、主に法定代理という制度を設けることで取引の安全の保護を図っているのです。

代理の範囲と禁止事項

①無権代理

代理人が行った取引の効果が本人に帰属するには代理権の授与が必要ですが、その際に範囲が具体的に決められていない場合、または代理権の範囲かどうか曖昧な行為もあります。

民法では判断基準として、

  • 管理行為
  • 無権代理
  • 表見代理

といった法的解決を設けています。

代理人が本人のために法律行為を行ったとしても、その行為が代理人の権限(代理権)の範囲内に属していないときは、当然には本人に行為の効果は帰属しません。

代理権の範囲外でなされた代理人の行為は、無権代理となります。代理権の具体的な範囲がどのように定まるかについては、法定代理の場合と任意代理の場合とで異なります。

②法定代理と任意代理

法定代理における代理権の範囲は各々の種類の法定代理人について個別的に法定されていて権限の範囲が定められていない場合には、管理行為となります。

管理行為とは

  1. 保存行為
  2. 利用行為
  3. 改良行為

のみを行う権限のことをいい、財産の現状や性質を変更しないでなしうる最大限の行為です。

任意代理の場合には、まず代理権の発生根拠である契約ないし代理権授与行為の解釈によって定まり、それらの法律行為の解釈によっても代理権の範囲を明らかにできない場合には、管理行為の定めるところによって決まります。

③禁止事項

代理制度は本人の代わりに取引を行い効果を帰属する行為なので、代理人自身の利益を優先すると取引の安全が害されます。

ゆえに民法では債務の履行及び本人が許諾した行為を例外として、自己契約・双方代理を原則として禁止しています。

代理の条件と内容

①代理の条件

代理行為が有効に成立するためには

  1. 代理人が代理権を有すること
  2. 代理権限の範囲内であること
  3. 本人のためにすることを示すこと(顕名)

の3要件が必要とされています。

②代理の内容

実務では、委任契約を締結する(代理権を授与する)際に、本人から代理人に対して委任状が交付されることが通例となっていますが、法的には不要式行為といって代理権を授与する行為には特定の方式が要求されておらず、委任状の交付がなくとも代理権の授与をすることができます。

③代理権の授与

黙示の代理権の授与も認められます。しかし、通常の不動産取引などでは書面の作成を法的に義務付けて取引安全を図っています。

復代理

①復代理とは

代理人が自ら本人を代理するのではなく、代理人が自己の名において選任した者に直接に本人を代理させることを復代理といいます。

復代理人は、代理人の代理人ではなく本人の代理人であることから、復代理人のした代理行為の効果は代理人にではなく直接本人に帰属します。

復代理人の権限(復代理権)は、代理人の権限(原代理権)の範囲内にかぎられ、代理人の代理権が消滅することにより復代理人の代理権もまた消滅します。

②復代理人の義務

本人と復代理人の関係においては復代理人と本人との間には直接の委任契約などはありませんが、本人は復代理人の代理行為について代理人の場合と同様の利害関係を有しているので、民法は復代理人は本人に対して代理人と同一の権利義務を有することとしています。

したがって、復代理人は、代理行為に際して相手方から受領した金銭その他の物を本人に対して引き渡す義務を負い、自己契約の禁止や双方代理の禁止規定に拘束されます。

③復代理人の義務の消滅

復代理人は、本人に対して受領物の引渡義務を負う一方で、代理人との復委任契約などにもとづいて、代理人に対する引渡義務も依然として負っています。

このような場合、復代理人が代理人に対して受領物を引き渡せば、本人に対する引渡義務もまた消滅することと判例は判断しています。

代理人と復代理人の関係においては復代理人は、自己を選任した代理人の監督に服します。なお、復代理は代理権の譲渡ではないので復代理人選任後も代理人は依然として代理権を有したままです。

無権代理

①無権代理の意義

無権代理とは、代理人に代理権がなかった場合や代理権限を越えて代理行為を行った場合、相手方を保護する制度です。

無権代理制度には

  1. 表見代理
  2. 無権代理

という2種類があります。無権代理においては何かしら本人に帰責事由(非難されるべき事情)がありますが、無権代理の場合はありません。

当然ながら、そのような場合にまで契約の成立を認めると本人に酷であるので相手方の態様により無権代理人に対する責任追及を行うことで取引の安全を法的に図っています。

②無権代理の責任追及

無権代理人に対する責任追及の方法としては相手方が善意無過失である場合に、履行の請求か損害賠償請求のどちらかを行うことができます。

ただし、無権代理人が制限行為能力者である場合には責任を追及することはできません。

③無権代理行為の追認

無権代理が本人にとって利益のあるものであれば、本人は追認をして無権代理行為を行為時にさかのぼって有効とすることができます。もちろん、拒絶もできます。

相手方は無権代理行為の取引において不安定な状態にあることから、善意(知らない)・悪意(知っている)を問わず本人に対して相当な期間を定めて追認するかどうかの確答を催告することができます。

期間内に確答がなければ拒絶したことになります。相手方の保護として、善意の場合は本人が追認するまでの間であれば無権代理人と結んだ契約を取り消すことができます。

表見代理

①表見代理とは

表見代理とは法律行為の時点では代理権の範囲外、又は代理権が消滅しているなど、本人が代理人に何かしらの代理権を与えている、もしくは与えていたことがある場合、相手方が本人に対して責任を追及することができるケースです。

本人と善意無過失の相手方との契約を有効に成立させ、表見代理を主張せずに無権代理による保護を選択することもできます。

②表見代理の種類

表見代理には、本人が外観への関与したという態様に応じて、

  1. 代理権授与の表示による表見代理
  2. 権限外の行為の表見代理
  3. 代理権消滅後の表見代理

の3つの種類が定められています。

③表見代理の要件

全ての場合において、相手方に代理権が存在しなかったことについて善意無過失であることが要件とされています。

代理権の消滅

①代理権の消滅原因

代理権の消滅原因には法定代理と任意代理に共通するものと、代理の性質に応じた特有のものとがありますが、

  1. 本人の死亡
  2. 代理人の死亡

または代理人が破産手続開始の決定もしくは後見開始の審判を受けた2点については共通して代理権の消滅となります。

本人の死亡については、本来代理権とは本人の信任にもとづき(任意代理)、又は、本人を保護するために(法定代理)発生するのであるから、本人の死亡によって代理権は当然に消滅します。

ただし、特約によって本人の死亡後も代理権が存続する旨を定めることもできます。

②代理権による消滅

代理人の事由による代理権消滅は、本人から信頼されて(任意代理)、あるいは、その者の地位にもとづいて(法定代理)代理権を与えられていることから代理人が死亡すれば代理権は消滅することになります。

また代理人について破産手続開始の決定や後見開始の審判が行われることは、代理人に対する信頼を失わせることになるから、これらも代理権の消滅事由になります。

③後見開始の審判

注意すべき点は後見開始の審判を受けたことを理由とする代理権の消滅は、代理人となった後に審判を受けた場合にかぎられていることです。

実務よりも理論的なケースとして代理人となるのに行為能力は不要とされているので、すでに後見開始の審判を受けている者を代理人として選任することは可能です。