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手付貸与の禁止

①解約手付とは

宅建取引で手付とは、解約手付を意味します。

買主(借主)は手付の交付後に放棄すれば契約を解除でき、売主(貸主)は手付の2倍の額を償還すれば契約を解除できます。

いずれの場合も相手方が契約の履行に着手した後は解除できません。

②手付貸与の禁止とは

宅建業法では、貸付や信用の供与により、契約の締結を誘引することは禁止されています。

①信用の供与

信用の供与とは、手付の貸与、手付の後払いや分割払い・約束手形の受領等の行為をいいます。

手付の貸与

手付の貸与は、手付放棄による契約解除をしたい場合、宅建業者に貸与額を返金しなければならず、契約の自由が阻害されるために禁止されています。

例外

信用の供与に該当しない行為として、以下の行為が認められています。

  • 手付の減額
  • 融資先を紹介する金銭貸借の斡旋

③適用範囲

手付貸与の禁止は、買主(借主)が宅建業者でも適用されます。

断定的判断の提供の禁止

①断定的判断の提供とは

断定的判断の提供とは、契約締結の勧誘の際、相手方等に利益が確実だと誤解させる行為を指します。

例えば、「将来の値上がりは確実だから、転売で必ず利益が出る」と営業することが、断定的判断の提供に当たります。

②誤解を招く表現

契約の目的物(宅地・建物)の、将来の環境や交通等の利便性について、誤解させる断定的判断を提供することも違法です。

例えば、「南側に3階建てより高い建物が建つ予定はない」「徒歩5分以内の場所に数年以内に地下鉄の駅ができる」など、誤った情報で勧誘すると、宅建業法違反です。

③過失

過失により断定的判断を提供してしまった場合でも、免責されません。

強引な営業の禁止

①強引な営業とは

近年、好立地をウリにした投資用マンションの勧誘が頻繁に行われています。

このような行為は特定商取引法で制限され、強引な訪問販売や電話での勧誘行為を規制強化したものです。

②強引な営業の禁止

不動産業界は、宅建業法で消費者保護が図られていると判断され、不動産営業は適用除外でした。

しかし時間構わず何度も電話があったり、日常生活の平穏が妨げられる状況も発生したことから、宅建業法で新たに強引な営業の禁止を定めました。

③禁止行為

具体的には下記のようなケースが該当します。

  • 正当な理由なく、契約の判断に必要な時間を与えることを拒むこと
  • 勧誘前に、宅建業者の商号(名称)、氏名、勧誘する旨を伝えずに勧誘すること
  • 契約を締結しない、勧誘を希望しない意思表示したにも関わらず、勧誘を続けること
  • 迷惑だと感じる時間に、電話・訪問すること
  • 深夜、長時間の勧誘、私生活や業務の平穏を害する方法で、困惑させること

履行遅延行為の禁止

①履行遅延行為とは

宅建業者が不動産の引き渡し、所有権の移転登記、不動産を買取代金の支払いなど、業者自身が契約の当事者として債務の履行義務を負うケースがあります。

期限内に義務を実行しなければ相手に損害を及ぼすことになり、民法上の債務不履行(履行遅滞)の問題だけではなく、宅建業法上での禁止規定に抵触します。

②履行遅延行為の禁止

宅建業法で履行遅延行為が禁止されている理由として、以下のケースが挙げられます。

地価の上昇期に土地を売却した宅建業者が儲けを見込んで、「引き渡しを2か月引き延ばして、違約金を支払ってでも別の買主に売ろう」と決済の遅延行為を行う。

③禁止対象

宅建業法で禁止されているのは不当な履行遅延であって、やむを得ない事情がある場合に、宅建業者の責任を問うことはできません。

宅建業法第44条で不当な履行遅延が禁止されているのは、以下の事項と限定列挙されています。

  • 登記
  • 引渡し
  • 取引に係る対価の支払

④例外

①建物

販売した建物が火災で焼失したり、工事の遅れで引き渡しが延びる場合、履行遅延行為の禁止ではなく、売買契約の取り決めや危険負担で解決を図ります。

②契約

宅建業者が媒介した契約で、売主による引き渡しの遅れ、または買主の支払いの遅れなどが生じた場合も、業者の責任を問うことはできません。

③手付等

買主の手付金を、正当な理由なく売主に手渡さない場合や手付金を自己消費したり、または当事者に返金すべき金銭を支払わない場合も規定の範囲外となります。

秘密保持

①秘密保持とは

不動産は高額な商品であり、宅建業者や従業者は、他人の財産や家庭状況を知る機会が多くなります。

そのため宅建業者と従業者は、正当な理由なしに業務で知った秘密を他に漏らしてはいけない守秘義務が課せられています。

②罰則

守秘義務違反の場合、50万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

宅建業の廃業や退職しても、この義務を負わなければなりません。

③例外

以下の場合は、守秘義務違反に当たりません。

  • 本人の承認がある場合
  • 裁判で証言を求められた場合
  • 取引の相手方に真実を告げる場合

契約書の交付

①契約書(37条書面)とは

民法では当事者間の合意だけで有効に契約が成立するとされていますが、不動産取引では、高額で条件が複雑なので、契約書を作成します。

契約書は、当事者間で合意した取引内容を明記したものであり、トラブルの解決の基となる書面でもあることから、記載内容には注意が必要です。

②交付義務者

交付義務を負うのは、宅建士ではなく宅建業者です。作成も宅建業者が行います。

①交付対象

交付相手は契約の当事者です。

売買の媒介売主と買主
交換両当事者
賃借賃貸人と賃借人
自ら当事者相手方

③記載内容

37条書面は契約内容を記載するものです。そのため契約が確定するまで作成・交付することはできません。

そのため37条書面は契約成立後、遅滞なく交付します。

④説明者

重要事項の説明書(35条書面)は宅建士が説明しますが、契約書は宅建士でなくてもかまいません。

宅建業者の従業者であればよく、契約書の交付時も説明の必要はありません。

ただし宅建業者は、37条書面に宅建士の記名・押印をさせなければなりません。